社会福祉学科 / 社会的・文化的に生きる「人間の尊厳」を研究しこれからの福祉社会のデザインを描く

栃本 一三郎教授

研究分野社会政策学・福祉経営論・社会福祉発達史

教員プロフィール

主な大学院担当科目

これまで指導した主な研究

これから入学したい方へのメッセージ

福祉系の大学院教育は近年大きく変化しています。たとえば、福祉専門職や看護・介護専門従事者の継続教育としてヨーロッパではEUのボローニャプロセス以降、専門大学修了者にとって大学院の教育はマネジメントや政策理解、そして臨床の科学的説明力の獲得のための継続教育といったことをカリキュラム内容としています。そのなかには現場を変えていく、より良いサービスを提供し、理念・理屈・建前と現実との乖離を一つ一つ臨床や実際のサービスレベルで解消させ、社会福祉領域の建前だけに終わらせることなく理念を実現化させる「福祉開発」も含まれます。いわばソーシャル・イノベーションのための教育なのです。

一方、本来の大学や大学院は学術を教授し、そのための研究や教育のための教育・研究機関です。つまり、基礎的な学力や広く、深い教養力を身につけた者、ないしそれを身につけていないことを自覚し、その重要性を良く認識しているものが学ぶべき学府であります。したがって、そもそも広い意味で社会問題やその解決策について研究することは学術としてそれらを扱うということであり、法則定立科学といわれる経済学や社会学といった学問領域や哲学や社会思想、規範的倫理学などについて知識を有していることが必要です。それが不足していると思うものが誠実に学問として社会福祉の諸問題に取り組む時、初めて、知らないことがあまりに多いということに気づき、学び始めます。大学院で学ぶとはそのようなことであり、そのための場です。したがって、知を育む、明晰さを保持する、教養をそなえたうえで物事を考えられるように訓練を受けるところが大学院であり、教員はそのために院生を指導します。高度専門職コースであれ、研究者コースであれ、福祉臨床系であれ政策・運営管理系であれ、共通して、院の終了後は自立した知識人として処していくものだと思います。そのための修練の場が大学院であり、大学院は学位製造工場ではありません。歴史研究、比較研究、理論研究という学術の醍醐味を経験し、また少なくとも英語以外にドイツ語やフランス語を学び始めることを勧めます。

我が国のいわゆる狭義のソーシャルワーク教育は今大きな曲がり角に来ています。従来のソーシャルワーク教育では広く、一般社会のなかで評価を受けることはないでしょう。

今までの援助技術系と制度といった区別がもはやナンセンスとなっている時代に福祉教育はこのままで良いのでしょうか?

本当の学術として勉強していきたいと思う人に来ていただきたい。一生を通じての滋養を得られるでしょう。